「歯がしみるのは虫歯じゃなくて知覚過敏?」では、知覚過敏の原因についてご説明しました。知覚過敏になってしまったら、その原因に合った対処をしていくことが重要です。
とはいえ、原因を除去できるまでに時間がかかるケースもあり、その間、食事のたびに歯がしみるのを気にして過ごすのはつらいものです。そのため、歯科医院ではしみる症状を緩和するための施術も行っています。今回は、歯科医院で行われる知覚過敏の一般的な治療法についてご説明していきましょう。
知覚過敏の症状を緩和させるための「対症療法」
知覚過敏の「対症療法」としては、主に、歯の神経に刺激が伝わるのを防ぐための施術を行います。患部を保護することで一時的にしみる感覚を軽減させます。
知覚過敏用の歯磨き粉による保護
知覚過敏用の歯磨き粉を使うことで、しみる症状の軽減を図ります。知覚過敏用の歯磨き粉に含まれる硝酸カリウムは、露出した象牙質をカバーする働きがあるため、神経に刺激が伝わりにくくなります。
薬剤・コーティング剤による保護
露出した象牙質に薬剤を塗ったり、直接コーティング剤で覆ったりすることで、物理的に刺激が伝わらないようにして症状を抑えます。いずれの場合も時間の経過とともに効力が薄れてくるため、定期的に処置を行う必要があります。
詰め物による保護
歯の根元が大きく削れて知覚過敏を起こしている場合は、削れた部分を詰め物(歯科用プラスチック:コンポジットレジン)で覆うことで、症状を軽減させます。歯が削れたままの状態でいると、知覚過敏が悪化しやすくなるだけでなく、汚れが溜まりやすくなり虫歯・歯周病のリスクも高くなってしまいます。
知覚過敏を治すための「原因療法」
根本的な原因を突きとめて、それを除去する「原因療法」。知覚過敏の場合は、原因となっている歯ぎしりや噛み合わせ、歯周病などを改善することが原因療法となります。
ナイトガードによる歯ぎしりの改善
歯ぎしりが原因で知覚過敏を起こしている場合は、「ナイトガード」というマウスピース型の器具を使って歯ぎしりを改善するのが一般的です。ナイトガードをお口に装着して寝ることで、就寝中の歯ぎしりによって歯の表面(エナメル質)や歯の根元が削れるのを防ぎます。
噛み合わせの調整
噛み合わせのバランスが悪いために知覚過敏を起こしている場合は、歯や詰め物・被せ物を削って噛み合わせを調整するケースがあります。噛み合わせのバランスを整えることで一部の歯だけに負担がかからないようにして、知覚過敏の改善へとつなげます。
歯周病の治療
歯周病が原因で知覚過敏を起こしている場合は、歯周病治療が先決になります。歯周病が進行すると歯茎が下がって象牙質が露出し、歯がしみる症状が出やすくなりますので、歯周病を改善させることで歯茎が下がるのを食い止める必要があります。
グラントウキョウスワン歯科・矯正歯科 院長より
自宅でできる知覚過敏の対処法としては、ブラッシングの改善があります。歯の表面のエナメル質を傷つけないようにやさしく磨く習慣をつけるだけで症状が軽減する場合もありますので、ぜひ意識して取り組んでみましょう。
ブラッシング方法を変えても知覚過敏が改善しない方、また長期にわたってしみる症状に悩まされている方は、歯科医院で診断してもらうのが賢明です。知覚過敏は、複数の要因が絡み合って起きているケースもあります。効果的に改善を図るためには、しっかりと原因を見極めたうえで、原因療法と対症療法を組み合わせてアプローチすることが大切なのです。
次回の歯科コラムは、2月29日(月)の公開を予定しております。ぜひお楽しみに。